高額療養費制度 その2

前回からの続きです。「高額療養費制度」の注意点についてお話します。

高額療養費制度を利用することで、負担額が減るのはとても助かります。しかし、場合によっては負担額が増えてしまったり、制度の対象とならないこともあるのです。

① 「月またぎ」には気を付けよう

高額療養費制度は毎月、その月に掛かった医療費を補うものです。

なので、二か月にまたがった医療費はひと月ごとに計算されてしまい、

二か月間の合計はできないのです。

例 自己負担限度額が10万のかたの場合(二か月間かかった場合)

4月 医療費全体 50万円 自己負担限度額 10万円

5月 医療費全体 50万円 自己負担限度額 10万円  合計 20万円の自己負担になります

例 同じく自己負担限度額が10万のかたの場合(1か月内に収まった場合)

4月 医療費全体 100万円 自己負担限度額 10万円 合計 10万円の自己負担額

このように同じ医療費であっても、タイミングによっては自己負担額が増えてしまうのです。

緊急の場合は仕方ありませんが、医師と入院手術の相談ができるときは「医療費のレセプトを2カ月にまたがらないようにしたい」と伝えると調整してくださるとのことです。

② 先進医療には適用されない

ガンなどの治療方法としてあげられる代表的な先進医療

これにかかる費用は高額療養費制度の対象にはなりません。全額自己負担となります。前にご紹介した重粒子治療など先進医療にかかる費用は約300万と言われています。先進医療がすべて数百万になるわけではありませんが、民間の医療保険などで備えておくと安心ですね。

先進医療以外にも、大部屋でなく、少人数や個室などに入院すると「差額ベッド代」という追加料金のようなものが発生します。差額ベッド代も自己負担となります。

③ 給付までに約3カ月ほどかかる

せっかく給付が決まっていても、3カ月ほど時間がかかってしまうことがあります。

退院時の支払いに間に合わず、一度は立て替える形になってしまいます。

ただ、高額になるとそれは困りますよね。そこで、「限定額適用認定書」を

交付してもらうか、無利息の「高額医療費貸付制度」を利用するのもよいかと

思います。

「限定額適用認定書」を交付してもらうことで、病院での支払い時に立て替えせずに済むこともあります。まずは健康保険組合への確認をしておくと安心ですね。

「貸付制度」は無利息で受けられます。高額医療費制度の給付を受けたら、それを返済に充てるというものです。

ちなみに支給申請は、2年までさかのぼることができます。過去に高額医療を受けていたら、いつだったのか確認しておくと良いと思います。

④ 健康保険と後期高齢者医療制度との合算はできない

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の方が加入する保険制度です。

世帯での合算の際に違う保険制度は合算できないので高齢者がいる世帯は注意が必要です。

 

 

いかがでしたか?高額療養費制度は使わずに済むのが一番です。

でも、使えると思ってたのに使えなかった、などガッカリしないようにしておきたいですね。

また、制度を使えるとしても、できれば立て替えしたくない、「限定額適用認定書」を申請するほどの費用になるかわからない。

という方のために、こちらをご案内しておきますね。

・長期入院は半月以上

・手術入院は全身麻酔や脊椎麻酔(半身麻酔)など麻酔を使う場合

を目安にしておくと良いそうです。上記に当てはまるときは「限定額適用認定書」の申請をしておくと安心ですね。

経済的な負担を軽減する制度、少しの工夫で有効に利用していきましょう。

 

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