真心のある仕事 【有限会社 田子湖泉堂】

有限会社田子湖泉堂 田子祐司さん

今回ご紹介するのは今泉のバス停前にある内装業「有限会社田子湖泉堂」の代表取締役 田子祐司さんです。

(有)田子湖泉堂 社長の田子祐司さん

私が前の会社の時代にとてもお世話になった方の一人です。

また、あまりの人脈の多さから、当時の上司に「行くところがなかったら田子さんのところにいきなさい」と言われていました。

確かに田子さんの会社にお邪魔すると、色々な方とお会いできるんです。

市役所、税務署、警察、消防、議員さんなどなど。

どのような役職の方が相手でも、平等に気さくに接する田子さんです。

経師屋(きょうじや)さんとしての技術もさることながら、多方面での活躍をしていらっしゃいます。

田子さんのお話をお楽しみください!

職人の道へ

こまさ:田子さん、今日はよろしくお願いします。

早速ですが、田子さんが経師屋さんの道に入ったきっかけはなんだったのですか?

田子さん:こちらこそよろしくお願いします。

 この道に入ったのは中学を卒業してから、丁稚奉公したからなんです。

15歳で学校を卒業すると、すでに長谷に丁稚として働くことが決まっていました。

両親が奉公先と先に契約しているんです。

今では考えられない世界ですが、私の時代にはまだそういう風習があったんですよ。

 結局15歳から7年丁稚として働きました。

そのあとは「お礼奉公」と言って無償で1年奉公するんです。

厚木市指定文化財 古民家の襖を修復

独立したのは昭和46年に「田子表具店」を構えた時ですね。

こまさ:厳しい世界を経験されてきたのですね。

ところで「経師屋さん(きょうじやさん)」というお仕事をご存じない方もいらっしゃると思うので、教えていただけますか?

田子さん:経師屋というのは、元は巻物や掛け軸、屏風やふすまなどの表装をするのが仕事なんですよ。

新しいものに張り替えるだけでなく、古い掛け軸などののシミをを抜くなどの修復作業もします。

 ただ、最近の住宅は和室自体が無い家もふえてきています。

障子やふすまだけでなくクロスの張り替えなどももちろんやっていますよ。

内装工事全般を引き受けていますね。

道を極める

こちらはなんと法隆寺の巻物!修復作業をされたそうです。

こまさ:経師屋さんの道一筋なんですね。やはりこだわりなどもあるんですか?

田子さん:こだわりは意識はしてないですね。

当たり前のことを当たり前にやる。これだけです。 

 真心をこめた作業はお互いの気持ちが通じ合います。

どんなことも丁寧に。作業場はきれいに整理整頓。基本的なことばかりですよ。

 今まで12人の職人たちを育ててきて、全員、一人立ちしていきましたが、この基本は全員に指導してきたことです。

 おかげでみな立派な職人として活躍してますよ。

こまさ:当たり前のことを続けるって、難しいことのように思えます。

田子さんは伝統技術を伝える職人さんとして、全国でもトップクラスの「全技連マイスター」に認定されていると聞きました。

田子さん:「全技連」はそれぞれの分野で活躍する技能士が所属しています。

ありがたいことに、1級や特級の上であるマイスターとして認定していただきました。

まだまだ認定者は少なく、鎌倉では私一人だけなんですよ。

 

 

 

海外から

イギリスで茶室を作る様子を国営放送が取材にきました。

こまさ:日本の技術は海外からも注目されているようですが。

田子さん:そうですね、イギリスの世界最古といわれるアシュモリアン博物館に、日本の茶室を作ってほしいという依頼があり、イギリスまで行ったことがありますよ。

国営放送が取材にきていましたね。

ほかにもドイツから職業訓練の視察に来たこともありました。

 

ドイツからの職業訓練視察団と田子湖泉堂のみなさん

日本の技術や文化が海外で受け入れられることは本当に嬉しいですね。

こまさ:残していくことも大切ですよね。現在ご子息も活躍されていますね。

田子さん:私より早い年齢で受賞したりしてますね(笑)

国土交通省での建築マイスター受賞やものづくり日本大賞の受賞で首相官邸に行ってましたね。

ご子息の啓祐さん、 建築マイスター表彰式の様子
古い本紙の染み抜きをする勉強会の様子

大船の町を支える

こまさ:田子さんは大船まつりの実行委員長としてもご活躍ですが、どのような思いがありますか?

私もお手伝いに行った2019年の大船まつり

田子さん:大船まつりに関しては、街が活発に元気になってほしいと思っています。

コロナの影響で昨年は中止としましたが、今年は感染拡大を完全に防止できる内容に絞り込んで、実施しました。

 来年は開催を前提に、出店される方はもちろん、市や警察の協力、また、何よりも来場してくださるみなさんが楽しめるよう、現在も活動を続けています。

こまさ:大船まつりを楽しみにされている方はたくさんいらっしゃいます。

できるだけ早く再開してほしいですね^^。

では最後に読者の皆さんに一言お願いします。そしてご協力に感謝します。

作業場の様子。奥にはたくさんの刷毛(はけ)が並びます。

田子さん:田子湖泉堂では内装はもちろん、塗装工事、水回り工事なども引き受けています。

気になることがあったら、気軽にお問い合わせください。

小林さん今日はありがとうございました。

 

 

 

◆◆インタビューを終えて◆◆

田子湖泉堂の田子さんのお話はいかがでしたか?

学校を卒業されてから、職人として現在まで活躍されていますが、その長年の技術は神奈川でも屈指のものです。

田子さんとは10年以上のお付き合いですが、私の一番の印象は「尻尾を動かしたければ頭が動かないとダメだ」との田子さんの法人会役員会での発言でした。

会員さんたちに協力をしてもらうには自分たちから動こう、との発言はとても新鮮だったのを覚えています。

実際に田子さんは30以上の要職をされていますが、本当によく動かれています。

一人で小さい作業をそっとこなすなど、そんな姿から大勢の方の信頼を得ているのだと思います。

年齢を重ねても頑張る田子さんをこれからもずっと応援していきたいと思います!

 

  有限会社 田子湖泉堂

住所 鎌倉市今泉1-1-8(今泉バス停前)

電話 0467-46-1820    FAX   0467-46-0652

定休日 日曜  営業時間 8:00~18:00