トラットリア ペコレッラ 吉田雄一朗さん インタビュー
大船駅笠間口をでたら左に10分ほど歩いたところに美味しいイタリアマンマの料理を提供してくれるお店。
それが今回のトラットリアペコレッラ、吉田雄一朗さんのお店です。
吉田さんはミラノ、ラトビアでの公邸料理人だったという経歴をお持ちです。
イタリアでの経験はその後の吉田さんに大きく影響をもたらしており、日本に帰国してからはイタリアのお母さんの味で地元の方の食を満たしています。
店内は車いすやベビーカーにも優しいバリアフリー。
お料理も当然美味しいのですが、明るい店内には丁寧な接客、楽しそうなお客様であふれています。
幼少時のお婆様の話からイタリアまでどこか共通するものを感じるお話です。
シェフ吉田さんのお話をお楽しみください。
こまさ:吉田さん、今日はわざわざお時間を作っていただきありがとうございます。
早速ですが、吉田さんが飲食の道に興味を持たれたのはいつごろからですか?
吉田さん:こちらこそよろしくお願いします。
私は長野県出身なのですが、昔から祖母は味噌や梅干し、糠漬けなどの保存食を自宅で作っていました。
山菜の時期などは家族総出でふきのとうやタラの芽などの山菜を掃除したり、食べるところが少なくてゴミがいっぱい出るんですけど、根曲り竹という細いタケノコのような食材を下処理して祖母が天
ぷらにしてくれたりと、今考えるととても豊かな経験でしたが、そういった幼少期の体験が食べることや作ることなど「食」に興味を持つきっかけとなりました。
私の両親は働いていたので、学校から帰るとおばあちゃんがおやつを作ってくれるのを横に立ってワクワク眺め、お手伝いをしていました。
なので小学生くらいの頃から料理を作ることが好きで、料理の道を志していたのかもしれませんね。
こまさ:なるほど、とても恵まれた環境でしたね。
その後はどのような経験をされましたか?
吉田さん:料理の専門学校時代にインターンで行ったホテルにそのまま就職しました。
ホテルは食事を目的に来る町場レストランと違い、様々な思いを抱いて様々なお客様がくる場でとにかくお客様の意図を汲み取ったり、冷静でスムースに対応する必要がありました。
でもそのおかげでスピード感と規律を学ばせてもらうことができました。
その後もっと専門性を高めたいと思い、フレンチに転職。
その料理は全てが手作りで全てがゼロベースです。
基本のブイヨンからソース、料理、デザートに至るまで数人のチームで1週間かけて作り上げて行く。
めちゃくちゃ大変でした。毎日家に帰るのは深夜2時とか。
それでもあの頃の経験は今の基礎になっています。
なんでもゼロから作る。
当たり前のように感じるかもしれませんが、すごく大変で難しい。膨大な時間もかかる。
こういった経験を経て、よい基礎作りができました。
こまさ:ゼロから作り上げるって手間も時間も労力もかかりますね。
素晴らしいです。ミラノの公邸料理人になった流れを教えてください。
吉田さん:20代のうちに日本を出て本場フランスで仕事をしたいと志し、わずかなチャンスにかけて公邸料理人にエントリーしました。
すると即ミラノの案件が舞い込みましたがミラノすら知らない僕は調べてみて「パリに近いじゃん」という理由で渡伊。
言葉も分からない中、赴任の数日後には設宴を取り仕切る世界に身を置いていました。
大都市ミラノのど真ん中にある総領事公邸で生活していましたが、ランボルギーニが走りハイブランドに身を包んだセレブが闊歩する街で暮らすのは田舎出身の自分に合わず、正直息苦しさを覚えていました。
そんな中バカンツァ(バカンス)を利用して一人で出たイタリア縦断の旅が僕を変えたと思います。
観光客の行かないような田舎を主に回りましたが、各地でイタリアの文化の多様さ、積み重ねられた歴史、土地に根ざした味、人情に触れました。
また、家族のように親交を深めたフィオリーノ家との付き合いを通じて、イタリアの家族の姿を知ることができたのも幸運でした。
食事に呼ばれていくと料理を一緒に作ることから始まります。
採ってきたキノコの下処理をし、手をかけて調理を進める中で、長野で過ごしたおばあちゃんの台所と記憶がリンクしました。
フィオリーノマンマも、おばあちゃんも、「大切な人にたくさん喜んで欲しい」という溢れる気持ちをベースに食卓の準備をしていました。
当店のコンセプトは、その「マンマの気持ち」です。
当店に来て下さる大切なお客様にたくさん喜んで欲しくて、日々厨房に立っています。
こまさ:そういった思いからこちらのお店をオープンしたのですね。
吉田さん:そうなんです。
駅からは少し距離があるのですが、ゆったりと過ごせるスペース、フラットな床などの希望もありましたし、イタリアの郊外にある食堂のように地域の人が集う場所にしたかったんです。
こまさ:他に大切にしていることはなんでしょう?
吉田さん:当店ではおばあちゃんやマンマの想いをベースにしたホスピタリティ(おもてなし)を大切にしています。
私たちには毎日のことであってもお客様には特別な日かもしれないですしね。
ありがたいことにうちのスタッフはいい方ばかりで、お客様からも好評いただいているんですよ。
本当にお客様にもスタッフにも私たちは恵まれているんです。
こまさ:では、最後に吉田さんのこれからについてお聞かせください。
吉田さん:はい、これからも地域のみなさんが集う場所として最大限のホスピタリティでお迎えしたい。
それに果物や野菜、肉などを出身地の長野から仕入れることで県外から長野を応援していきたいですね。
みなさんに喜んでいただける、それが何よりも嬉しいことなので気軽に利用してほしいです。
こまさ:吉田さん、いいお話をありがとうございました。
インタビューを終えて
イタリアが大好きな吉田シェフのお話でした。
お店の名前ですが、イタリアのイースター(復活祭)では卵やウサギ、のほかに子羊が神に捧げる特別なものとしてPECORELLA(ペコレッラ)と別の名前がつけられているそうです。そんな由来があるんですね。
海外での豊富な経験を活かした吉田さんの料理には周りで支えてくれる人たちへの感謝の想いが込められています。
スタッフの方やお客様にも恵まれる理由はそんな思いが伝わっているからでは?と思えました。
特別な日はもちろん、仲間や家族との楽しいランチ、ディナーとして利用できるお店です。
これからもぜひ利用させてください。吉田さんご夫婦、ありがとうございました!頑張ってください!
TRATTORIA PECORELLA
◆住所 横浜市栄区笠間3-6-8
◆℡ 045-435-5566
◆ランチ 11:30~14:30
◆ディナー17:30~22:00
◆定休日 火曜日
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