鎌倉の食を支える 有限会社小川商店

有限会社小川商店 笠原史江さん

 

もしかしたら読者のみなさんも学校や飲食店で小川商店さんの野菜を食べているかもしれません。

鎌倉市内の飲食店、学校、保育園などに青果野菜を卸している卸小売り業、「有限会社小川商店」取締役の笠原史江さんをご紹介します。

場所は台の踏切を超え、山﨑からのT字路を直進した先に小川商店さんの看板が見えてきます。

こちらの代表者は笠原さんの弟、小川典之さん

主に店頭で対応するのが笠原さん、事務所で受発注などを処理しているのは小川さんとなっています。

冬になると販売される焼いもは本当に美味しくて、家に持ち帰るとあっという間になくなる人気ぶりです。

いつも元気に迎えてくれる笠原さんのお話、ご覧ください!

家族で守り続ける

鎌倉野菜は笠原さんの見立てです

こまさ:笠原さん、今日はありがとうございます。

早速ですが小川商店さんの創業はいつになりますか?

笠原さん:はい、お願いします。

このお店は昭和26に私たちの祖父が開いたものなんです。

戦争から帰ってきた祖父が体調を崩し、勤務先を退職したそうです。

そこで平塚の実家で採れた野菜を鎌倉で売り出したのが始まりと聞いてます。

それに、戦時中は祖母も鶏を飼育して腰越で卵を売ったりなど商売していたらしいです。

こまさ:長い歴史があったんですね。二代目はお母さまですか?

移転前の店舗、昔ながらの八百屋さんです

笠原さん:そうです、私たちの母が婿養子を取る形で小川商店を守っていました。

ただ、父は私が19歳の時に亡くなってしまったので、弟は学校を卒業してすぐに店に入りました。

こまさ:お父様が若くして亡くなられてお母さまも大変でしたね。

史江さんはそのころはお店にはいたのですか?

笠原さん:最初はお手伝いという形でした。

ほかに中華屋さんで店長をしたりもしていたので。

出産を終えてから本格的にお店に入るようになりましたね。

コロナは小売業にも

こまさ:前の店舗、懐かしいです。

ところで、こちらの主なお客様というのは個人のお客様ですか?

笠原さん:中心は企業ですね。

昔は大手電機メーカーの工場がメインでした。

独身寮や社員食堂などくさんありましたね。

そのあとは湘南地区の飲食店や保育園、小学校などに切り替わっていきました。

店舗裏では従業員さんが仕分けをしています。

最近ではコロナの影響で飲食店さんからの注文が減り、うちもかなりの影響を受けました。

こまさ:コロナの影響は飲食店だけではないのですね。

笠原さん:そうなんです、学校給食も学級閉鎖や学年閉鎖と言われればその人数分の数が減りますし、今までとは明らかに変わってきました。

こまさ:しかし、市の仕事も請け負っているなんてすごいですね。

笠原さん:何よりうちのように従業員を雇って配達までしている八百屋が湘南地区では減ってきてしまっているんですよ。

お肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん、お米屋さんなどもスーパーの普及もあって同じような状況です。

そのため声をかけていただくことは多いのですが、仕事の依頼が来てもお引き受けできないこともあるんです。

こまさ:嬉しい悲鳴といった状況ですね。やはり人員が必要ですか?

明るい店内に楽しそうな声が響きます。

笠原さん:そうですね、人員は必要です。

でも、増やしたからといって何でも引き受けるわけにもいかず、難しいところなんです。

私たちの仕事は見えない経費というものがかかってしまうのでバランスが本当に難しいんですよ。

野菜や果物の質を落とすことはしたくないですし。

こまさ:小川商店さんの品は間違いがないですよね!

新鮮でおいしいです。

美味しい野菜を届ける

大きなネットでの購入も八百屋さんならではですね

笠原さん:嬉しいです。

仕入れは弟が横浜の市場、私が鎌倉の市場に毎朝行ってます。

市場では競りがあるのですが、私が一番楽しい時間なんです。

こまさ:テレビで見かけるサインのようなものを出すのですか?

笠原さん:そういうのもあります。

他には値段の声かけをしていくのもあります。

価格の調整と周りとのバランスを見ながらなので緊張感がありますね。

旬の果物は出始めがおススメだそうです

こまさ:競りの現場を見てみたいです!

時代の流れで変わってきたなと思うことはありますか?

笠原さん:ありますね。働く女性が増えたことで来店時間が変わりました。

専業主婦の多かった昔は夕方、晩御飯の支度の前に来る方が多かったんです。

なので、お店も遅い時間まで開けてました。

でも最近は午前中の早い時間に高齢者の方が来ることが多いです。

こまさ:変化してますね。店頭では笠原さんとお客様との会話をよくおみかけします。

1対1の接客

タイミングが良いと自家製の浅漬けなども販売しています。

笠原さん:高齢の方たちは昔の買い物を知っているので、会話ができることを「楽しい」と言ってくれるんです。

その日のおススメや旬、調理法などちょっとしたコミュニケーションが個人店の良さだと思います。

そして70代以降の方は品を選ぶのが上手なんです。

形だけでなく、実際手に取って野菜をみてきているからなんですね。

こまさ:大切な交流の場なんですね。買い物が楽しいなんて嬉しい言葉ですね。

笠原さん:嬉しいですよ!

他には取引先さんから「小川さんとこの野菜はいいね!」と言ってもらえるとやはり嬉しいです。

盛り合わせは笠原さんにお任せすると旬の美味しいものを取り入れてくれます

こまさ:では、最後にこれからの小川商店さんについてお聞かせください。

笠原さん:コロナの影響をどう乗り越えるか、が課題にはなっています。

でも新鮮でいいものを提供していくことは変わりません。

毎日食べる食材で健康な体作りのお手伝いができたらと思います。

こまさ:笠原さん、今日はありがとうございました!

 

インタビューを終えて

小川商店の笠原さんのお話、時代の移り変わりが伝わるお話でした。

笠原さんは常連さんの好みや体況も把握されていて、その方に合ったものをおすすめしてくれます。

その野菜の美味しい食べ方なども教えてくれて、対面で接客しているからこその情報があります。

大型店舗の利便性はもちろんありますが、その日の献立を一緒に考えてくれるお店はとても貴重ではないでしょうか。

これからの小川商店さんをずっと応援していきたいと思っています。頑張ってください!!

有限会社 小川商店

◆住所 鎌倉市台2-2-9

◆電話 0467-45-2155

◆FAX    0467-44-4839(FAX)

◆営業時間 7:00~18:00

◆定休日 日曜日