本 「ツバキ文具店」

「ツバキ文具店」 著 小川糸

今回ご紹介するのは2017年にNHKでもドラマ化された、作家 小川糸さんの「ツバキ文具店」です。

本の内容はもちろんですが、読んでいると鎌倉をごご存じの方なら町の風景がすぐに頭に浮かぶところも楽しめる要素だと思います。

八幡宮、鎌倉宮を通り二階堂に住む主人公のポッポちゃん。

二階堂のこの辺りがツバキ文具店かな?と容易に想像できます。

作中にでてくる飲食店がまた有名どころばかり。

鎌倉の裏駅、紀伊国屋を市役所方面に進んだスタバがでてきたり、北鎌倉の光悦のおいなり鰻の老舗「つるや」の二階席などなど。

読んでいて主人公がどの席で何を食べているか想像ができてしまうことで、自分が作品に引き込まれているのに気づきます。

さて、肝心の内容ですが、主人公の鳩子(ぽっぽちゃん)は祖母から受け継いだツバキ文具店を経営しながら、もう一つの仕事「代書屋」を請負っています。

あえて手書きで手紙を出したい、でもどう書いていいかわからない。

または字に自信がない。

依頼内容も離婚の報告、借金お断りの連絡、元恋人に元気だということだけ伝えたいなど事情も様々です。

ただの代書だけではなく、依頼者の気持ちや手紙にする背景などをぽっぽちゃんは汲み取ります。

内容に合わせ、筆、万年筆、ガラスペン、ボールペンなどを使い分け、インクの色や便箋の紙素材、封筒。切手にまでこだわりを見せます。

何より、本人が書いたかのように見せる文章、文字。本当にすごいです!

便利で早いメールももちろん良いのですが、同じものは一つとない手書きの手紙、送る側も

受け取り側も感じるものが変わってくると思います。

たまには手紙を書くのもいいかもしれない、と思えた作品でした。

鎌倉好きな方ならさらに楽しめそうなので、ご興味ありましたら是非ご一読くださいね!