重粒子線治療設備見学

がんセンターでの重粒子線治療設備の見学

6年前、設立間もない神奈川県立がんセンターの見学に行く機会がありました。

重粒子線治療について教えていただいたので、共有したいと思います。

神奈川県立がんセンターは平成25年に二俣川の運転免許センター隣に移転してきました。がんセンターと併設して重粒子線治療施設「i-ROCK」があるのは国内で神奈川だけです。

また、重粒子線治療が受けられる施設は国内でもまだ7カ所しかない貴重な施設です。

さて、二人に一人はかかると言われるがん。

治療法については、手術・抗がん剤などがありますが、放射線治療の一つとして注目されるのが重粒子線治療です。

重粒子線治療という言葉はだいぶ浸透してきましたが、具体的にどんな治療法なのでしょう。

重粒子線治療とは

 重粒子線治療とは、炭素イオンを利用した重粒子線を光の速さの70%まで加速し、がん細胞に照射する方法です。

  1. からだの深いところにあるがんのみを集中的に照射します

からだの深いところにある”がん”のみを集中的にたたいて、その手前や奥など周りの正常な細胞を傷つけにくいため、副作用が少なくなります。

  1. 今までの放射線治療では治りにくいがんにも効く

重粒子線は、X線や陽子線などによる放射線治療と比べて、がんを殺傷する能力が強いため、今までの放射線治療が効きにくかった肉腫など難治性のがんにも効きます。

このようにピンポイントで照射する治療のため、がんの正確な位置を定めることが必要不可欠です。

そのためには患者さん専用の固定具(型)を作成するところから始まります。

 

 

↑は肺がんの患者さんが両手を上げたうつ伏せ状態の固定具です。

左下にある黒い部分(背中側から)に重粒子線を照射します。

また、それだけではなくCTを利用してがんの位置を正確に計測します。

ただし、正確な位置が必要な重粒子線治療は胃がんや大腸がんには使えません(不規則に動いてしまうため)。

左のCTで位置を数値化 右の寝台で上と横から照射(垂直と水平)

一方で今まで治療の難しかった部位(腎臓・膵臓など)にも対応でき、体への負担も軽減する重粒子線治療、患者さんたちの希望になったら嬉しいですね。

気になる費用についてはがんの種類によって異なります。

先進医療なのか保険適用か、目安となる金額を知りたい方は、いつでもご連絡ください。